学部・大学院

リベラルアーツ&サイエンス・プログラム

リベラルアーツ&サイエンス・プログラムの設置にあたって

はじめに

神戸女学院大学は、2014年4月以降の新入学生を対象に、副専攻制度としてリベラルアーツ&サイエンス・プログラムをスタートさせます。これは所属する学科でもっとも詳しく学ぶ専攻分野以外の領域の学修を可能とする制度です。本プログラムに取り組むことにより学生の皆さんは、本学が定める学修上の大きな目標である「21世紀にふさわしい教養と知性を身につけ、どのような場に置かれても十分に能力を発揮し、状況に立ち向かうことができる」汎用性と応用性、さらに異なるものを関係づける粘り強い対話力を体得することができます。神戸女学院大学は、文学部、音楽学部、人間科学部からなる大学です。一学年600名ほどの小規模大学であるにもかかわらず、人文科学、社会科学、自然科学から芸術までの分野が整っています。日本の近代建築に多大な寄与をなしたW. M. ヴォーリズの手になる美しい建造物の内部でなされている神戸女学院大学の教育・研究は、きわめて広範囲に渡ります。これは神戸女学院大学がアメリカのリベラルアーツ・カレッジをモデルとした大学であることによります。

リベラルアーツの歴史と理念

「自由学芸」と訳されるリベラルアーツは、遠く古代ギリシアに端を発し、言葉と数を究めることが人間の自由な精神活動にとって基本的かつ重要なものと考える人々の理念に基づいています。以後、言葉に関わる文法・弁論(修辞学)・弁証(論理学)の三学、数に関わる算術・幾何・天文・音楽の四科が、自由七学芸として整理され、ヨーロッパ中世においてはキリスト教の神学、法学、医学といった専門職とされた分野を学ぶ前に習得すべきものとされました。ともすれば、現代日本ではリベラルアーツを浅く広く学ぶ入門的教養という意味に押し込め、文系・理系の区別が絶対的なものと考え、大学を細分化された「専門科目」を学ぶ場と見なしがちですが、言葉と数についての深い理解が人間の精神活動を自由にするとの理念に発する本来のリベラルアーツは、はるかに深く人間を捉え、はるかに豊かに人間を育てようとするシステムと言えます。その後、リベラルアーツは17世紀のアメリカで発展を遂げ、入門課程から、中級、上級までの科目を備えた教育プログラムへと拡充されました。神戸女学院は1875年に創立され、大学にあたるカレッジ部門(高等科)は1885年に設置されました。その折りから、神戸女学院ではアメリカの女子大学をベースにしたリベラルアーツのカリキュラムを採用していました。

現代におけるリベラルアーツ

もちろん、歴史的な理念がそのまま現代に有効であるとは限りません。近代化以降、社会は複雑さを増し、現代では地球上の諸地域が緊密に結びつけられ、一つのグローバル世界が誕生しているからです。それに応じて学問もまた変化してきましたし、今後も変化し続けるでしょう。例えば、社会や心理、環境や生命、そして英語やその他の言語、芸術や文化など、様々な事象をそれとして扱う学問が成立してきたのです。それゆえ教育においても、古代以来の理念に新たな要素を加えてこそ、現代の諸問題に応答し、未来を切り開く人間を育てることができるでしょう。そのような中で、リベラルアーツは次のような特徴を備えた教育法と認識されてきました。


(1)複数分野にまたがる多角的な知識の修得
(2)批判的で論理的な思考力の鍛錬
(3)それらに基づく独自の専門性の醸成

これは、現状の問題を認識し、必要な学修によって課題を深め、問題を解決へと導く能力を涵養するプロセスと言い換えられます。最近(2012年8月)、中央教育審議会が大学教育の責務として「予測困難な時代に、自分で考え、どのような環境にあっても、答えのない問題に最善解を導くことのできる能力」の陶冶を掲げていますが、リベラルアーツの理念は今日的な要請を先取りしたものと言えます。


本プログラムの概要

神戸女学院大学は、現代とその背後にある歴史を見すえ、リベラルアーツ・カレッジの原点に立ち戻り、2014年度、副専攻制度を充実させました。これは学生が各自の興味関心――専門の性格から学修が望ましいと判断した分野、個人的な関心から専攻領域の拡幅を願って取り組む分野、高校時代に進学を考えたが選択しなかった(できなかった)分野など――に従って専門とは別に異なった分野を、当該分野を設置する学科等の認定のもと、まとまったかたちで学ぶことができる制度です。以下に、手順と注意を記します。


1)担当教員と相談。
2)関心を覚える分野の科目を体系的に20単位以上履修。
3)音楽関連分野では、適性試験があります。
4)このプログラムを修めた人には、卒業証明書に副専攻分野修了の証明が記載されます。

専門とは別とはいえ、副専攻を修得したと認められるためには、各学部各学科等の提供する専門科目を複数履修しなければなりません。時に手遊びのニュアンスをともなって語られる「教養」ではなく、真正のものを選び取る判断力に優れ、共感性をもった自由な人間となるための「教養」の力を身につけてほしい――これこそ神戸女学院大学が学生の皆さんに希望し、かつ期待することなのです。


本プログラムの内容

以下、各分野の紹介と、担当教員が責任を持って選んだ推薦図書を掲げます。どの一冊を手に取ろうとも、その書は、皆さんを鍛え、成長させてくれるものだと私たちは信じています。

設置分野

神戸女学院の100冊(基本文献)