70周年記念誌
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099すべての言葉に、愛を乗せて。父からプレゼントされたマリア・カラスのレコード。その表現力に圧倒され、ピアノ一筋だった高校生の私は声楽の世界に強く惹かれるように。そして師となる岡田晴美先生に出会い、教鞭を執られていた女学院への進学を決めたのです。「声楽」は、楽譜通りに正しく声を出せばよいわけではありません。「どんな考えを持って、どんな気持ちで音楽をつくるか」を意識することで表現がまったく変わるのです。女学院では、技術を学ぶだけでなく、音楽的な背景など、1つの曲に対してさまざまな方向からアプローチしながら掘り下げ、表現の幅をぐんと広げることができたように思います。私の時代は音楽学部にも一般教育科目として理系の必修科目があり、自然科学や数学も履修。分厚い「微積分」のテキストを誇らしげに持ってました(笑)。英語の発音学では、女学院の英語教育の祖とも言われるボガード先生の授業を受けていました。非常に厳しく、授業中にできなかった学生は英文学科でなくても容赦なく昼休みに呼び出し! 熱心なご指導のおかげで、発音学は歌う上で非常に役立っています。というのも、声楽は音楽に言葉を乗せて奏でるもの。日本語にない子音などを意識することで、正しく発音する感覚を研ぎ澄ますことができました。でも  

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