70周年記念誌
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035私の経験を音に変えて届ける。6歳のときに阪神大震災を体験。避難所で行われた慰問演奏で、オーボエの音色がすーっと胸に入ってきたことを今でも思い出します。澄みわたった、やさしい音色。音楽はこんなにも人の心を支えてくれるものなのか、と幼かった私の心に響きました。その後、中学でオーケストラクラブに入部し、憧れのオーボエを演奏する日々がスタート。ピアノやギターなどは弾いた瞬間から音が小さくなっていきますが、オーボエなどの吹奏楽器は音を出してからもボリュームを自在にコントロールできるため、表現の幅が広がるんです。人間の“息”がそのまま楽器になって歌い上げられる魅力に取りつかれ、もっと専門性を高めたいと女学院の音楽学部に入学。緑豊かな静かなキャンパスで、自分の音楽性を磨きたかったのです。当時の女学院のオーボエ専攻は、なんと私一人だけでした。だから、演奏会やオーケストラの授業では1年生の頃から重要なパートを任せてもらえて。舞台でどう振る舞えばよいか、オーケストラで他の奏者にどう音を受け渡したらよいか。演奏者として必要なスキルや心構えは、女学院での4年間でたっぷり経験し身につけられました。女学院での舞台経験がなければ、ソリストとして舞台に立つことは怖くてできなかったかもしれません。  

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