音楽によるアウトリーチ 神戸女学院大学音楽学部
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取り組みの概要とこれまでの経緯

「音楽によるアウトリーチ」とは

神戸女学院大学音楽学部では2001年度から授業として「音楽によるアウトリーチ」に取り組んできました。

「アウトリーチ outreach」とは「より遠くに達すること、通常の活動範囲から踏み出すこと」を意味し、「音楽によるアウトリーチ」は音楽学部の教育を大学内およびコンサート・ホールの舞台という従来の枠組みから解放し、社会の様々な分野に開くことによって、学生の主体的な学びを促そうとするものです。それは従来のコンサート形式を越えて、聴衆との双方向的なコミュニケーションをめざす試みです。

小中学校や病院において、また子どものためのコンサートなどで演奏する際には、聞き手の関心に沿ったプログラム構成が求められます。このような場を学生に与えることで、他者理解を踏まえた自己プロデュース能力コミュニケーション能力マネジメント能力を向上させることをめざします。それは演奏家の側に立った地域密着型のアートマネジメントといえます。また専門性の高い地域内インターンシップとして、学生のキャリア意識醸成の場であり、地域への還元として、建学の精神「愛神愛隣」の実践の場ともなっています。

3年次の授業「音楽によるアウトリーチ(講義)」において、基本の考え方やプログラム構成のポイントを学んだ上で、最終学年の「音楽によるアウトリーチ(実習)」において実際にさまざまな場に出向いて実習するというカリキュラムになっています。

具体的には、1)小中学校へ楽器の体験学習などの音楽プログラムを提供する、2)病院や美術館に、催しの趣旨や季節にかなった音楽プログラムを提供する、3)学内施設などを利用して「子どものためのコンサート」を開催する、の三つが主な活動です。

2002〜2004年度の実習において、小中学校への派遣24回、病院などへの派遣14回、子どものためのコンサート11回(シリーズとしては10回)を実施し、地域の皆様に喜ばれてきました。履修生の中からは三重、滋賀、京都の文化会館等に就職した者もあり、卒業後も地域の文化活動で活躍しています。

このような実績が認められて、「音楽によるアウトリーチ」は文部科学省の平成17年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されました。平成20年度までの4年間、国からの財政支援を得て、この取組をさらに充実させていきます。どうぞご期待ください!

取組担当者:津上智実 (音楽学部教授、音楽学)

取り組みの背景

音楽科創設100周年を迎えようとしている本学部は、これまでにも多くの優れた演奏家を世に送り出してきました。その一方、高い就職率を誇る本学においても、音楽大学の例にもれず、音楽の専門分野で就職できる学生は多くはありません。幼い頃から積み上げてきた音楽の技量をどのような形で生かすことができるのか、卒業を前に悩む学生も見受けられます。高度な専門性を身につけさせるのに加えて、社会で実践的に役立つ知見を与えることも大学の責務の一つではないかという問題意識がこの取り組みの背景になっています。

実施までの経緯

2000年度末、音楽学部の卒業生約2000名を対象に「活動実態アンケート」を実施しました。その結果、約1割がステージで活躍、9割は地域での活動を主体としていることが分かりました。そこで、音楽学部の教育をステージ一本槍ではなく、地域での活動を視野に入れたものへと拡大しようと考えました。

また、2002年春から全国の小中学校で「総合的学習」が実施され、学習支援者の必要性が大きくなっていました。そこで近隣の小中学校202校にアンケート調査をしたところ、約6割の学校が受け入れに前向きの姿勢を示しました。次に学生から希望者を募り、若い弦楽奏者の小学校訪問を見学してレポートを求めたところ、ほぼ全員が自分もこのような活動をしてみたいとの答えでした。同時に、うまくできるか自信がない、十分な準備が必要といった声もありました。

こうした調査を進めながら学部内で9ヶ月にわたって議論を重ねた結果、このプログラムのもつ教育的な可能性について理解が一致し、全学教授会の承認を得て実施の運びとなりました。

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