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2008年度コンサート記録

2008年12月13日
子どものためのクリスマス・コンサート〜みんなで歌おう♪ クリスマス・ソング!〜

クリスマス・コンサート 12月13日(土)、本学講堂にて「子どものためのクリスマス・コンサート 〜みんなで歌おう♪ クリスマス・ソング!〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第24回)を開催しました(第1部11時開演、第2部16時開演、来場者数・476名/277名、計753名)。出演は3月に卒業したばかりの既修生7名と賛助出演の大学院生1名です(ピアノ・今中ゆり、井上香菜、中須賀真弓、杉原真弓、山本佳苗、声楽・松本真奈、奥田敏子、ヴァイオリン・喜多ちひろ)。

前半はクラシック中心の選曲で、ピアノ連弾によるバッハ《主よ人の望みの喜びよ》とブラームス《ハンガリー舞曲 第5番》、独唱でプッチーニの歌劇《ジャンニ・スキッキ》より〈私のいとしいお父さん〉と続きます。
次はヴァイオリンの登場ですが、まず音だけが舞台裏から響いてきます。「何の楽器かわかるかな?」という司会者の問いに、早くも子どもたちから正解の声が上がり、舞台袖から楽器が姿を現すにつれて、会場の声も大きくなります。ここでクライスラー《愛の喜び》と《愛の悲しみ》をヴァイオリン独奏で聴いてもらいました。

続いて、2重唱の楽しさを味わってもらうためにフンパーディンクの歌劇《ヘンゼルとグレーテル》より〈私と踊りましょう〉。小学校の教科書にも載っているお馴染みの曲です。ヘンゼル役とグレーテル役の2人が「足踏みとんとんとん、手拍子とんとんとん、あっち向いて、こっち向いて、クルッと回って……」と踊りながら歌います。

この2人のやりとりから、クリスマスの由来と意味のお話になり、「イエス・キリストの誕生日のお祝い」として、みんなで一緒に踊りましょうと提案しました。「みんなは会場が狭いから回れないよ! もっと簡単な踊りにして!」という声で、お隣さんをとんとんとんと叩くことになりました。会場の子どもたちも立ち上がって参加しますが、途中で速くなったり、ちょっと違う振りを入れたりで飽きさせない工夫が凝らされていました。

後半はクリスマス・メドレーです。讃美歌《ひいらぎかざろう》と《ジングル・ベル》をみんなで歌い、《神の御子は》を2重唱で聴いてもらった後、《サンタが町にやってくる》で「あなたからメリー・クリスマス!」と「わたしからメリー・クリスマス!」を客席と歌い交わし、《もみの木》で厳かに締めくくりました。
最後に、もう1つの聴衆参加として《きよしこのよる》を会場の皆さんと2部合唱することを試みました。違うメロディを重ねることの楽しさを味わってもらいたいと考えて、(1)舞台の2重唱を聴いてもらう、(2)主旋律を歌ってもらう、(3)下のパートを練習して、2部合唱に挑戦してもらう、という手順で進めました。
アンコールの《世界中で1番素敵なお誕生日》では、ヴァイオリンが客席の間を練り歩いて演奏し、最後に出演者を紹介して閉幕となりました。

今回のコンサートは、前日のゲネプロもスムーズにゆき、私たち出演者一同、安心して本番に臨むことができました。本番前には津上智実教授を始め、斉藤言子教授や中村健教授からもアドバイスを頂くことができたので、さらによい演奏ができたと思います。

第1部では小さい子が歩き回ってしまう場面もありましたが、子ども達が楽しんで参加してくれたのが何よりでした。会場アンケートでは「《きよしこのよる》の二重唱は少し難しかった」という意見もあり、もう少し短くやさしくするべきだったかもしれません。反面、「楽しめた」という意見もあり、全てのお客様を満足させることの難しさを改めて感じました。

第2部では、歌声も大きく、多くのお客様が参加してくれていることが実感できてうれしかったです。子ども達も聴くところは静かに聴き、参加するところはしっかり参加してくれて、やりがいを感じました。歌はみんなが楽しめるものと再認識できました。

子ども達の「楽しかった! 」という感想を聞く度に、とてもうれしく感じます。出演者はもちろんのこと、臨機応変に動いてくれた多くのスタッフの力があってこそで、まさに皆の力で作り上げたコンサートでした。   

(今中ゆり・記)

2008年11月22日・24日
子どものためのスペシャル・コンサート 〜すてきだね、日本語の歌!〜

スペシャル・コンサート11月22日(土)神戸新聞松方ホール、11月24日(月)東京文化会館小ホールにて「子どものためのスペシャル・コンサート 〜すてきだね、日本語の歌!〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第22・23回)を開催しました(十五時開演、来場者数・神戸/352名、東京/328名)。出演者にソプラノの釜洞祐子氏(本学音楽学部97回生)とピアニストの松川儒氏をお迎えして、日本語の歌のおもしろさと美しさを子どもたちにたっぷりと味わってもらいました(企画・司会/津上智実)。

コンサートは中田喜直《ちいさい秋みつけた》で始まり、岡野貞一《紅葉》、文部省唱歌《虫の声》と《村祭》、山田耕筰《赤とんぼ》の四曲を秋の歌メドレーで演奏。日本語の特徴的なリズム「ぴょんこ節」(あーめあーめふーれふーれと付点リズムになる)を紹介して中山晋平《鞠と殿さま》。続いてユーモラスな歌として團伊玖磨《やぎさんゆうびん》と山田耕筰《あわて床屋》。小さいのに大きい歌として團伊玖磨《ぞうさん》と文部省唱歌の《うみ》と《富士山》。英語の歌詞と日本語の歌詞との聴き比べでH・ワーク《大きな古時計》。そしてコロラトゥーラの妙技を味わう《箱根八里》(山田耕筰編曲)とアリャビエフ《うぐいす》で前半を締めくくりました。

休憩をはさんで、後半はまず「子どもの詩コンクール新曲発表」(後述)。続いて、子ども時代の作詞による猪本隆《笑ってもさびしくても》(吉松奈保子作詞、当時小学校5年生)と山本正美《ねむの木の子守歌》(美智子皇后陛下御作詞、高校生時代の御作)。語るような歌として大中恩《サッちゃん》と猪本隆《わかれ道》。現代の歌から、増本伎共子《土筆の僧正》と《ズイズイズッコロ橋》、木下牧子《さびしいカシの木》、そして武満徹《小さな空》が歌われました。アンコールは宇野誠一郎《アイアイ》と久石譲《さんぽ》。途中、お客様全員参加で「ズイズイズッコロ橋」をしたり、一緒に歌って頂いたりしました。

神戸公演では、4月に開催した「子どもの詩コンクール」の上位入選作5作が、詩の朗読と新曲初演という形で披露されました。まず、佳作および松岡享子審査員特別賞の福井悠人さん(姫路市立津田小学校2年生)「ゆめちゃんだいすき」、佳作および東直子審査員特別賞の露木堅太さん(西宮市立瓦林小学校3年生)「しずおかのばあちゃん」がご本人によって朗読されました。続いて、中学生の部優秀賞の稲田つばささん(西宮市立平木中学校2年生)《旅立ち》(作曲・ピアノ・石黒晶、独唱・斎藤言子)、高校生の部優秀賞の若山沙織さん(神戸女学院高等学部3年生)《あなたの優しい涙と微笑み》(作曲・ピアノ・中村健、独唱・斎藤言子)、小学生の部優秀賞および特賞の阪本歩美さん(西宮市立瓦林小学校3年生)《わたしのなまえ》(作曲・ピアノ・澤内崇、独唱・釜洞祐子)が初演され、演奏後には作曲者から作詞者に楽譜が手渡されました。

両公演とも14時開場で、アウトリーチ履修生7人が3種類の開演前ワークショップをロビーで展開し、来場の子どもたちに言葉と声とリズムで遊んでもらいました。「歌手になろう!」ではリラックスしてよい声を出す練習をし、「お気に入りの詩をみつけよう!」ではパネル展示した詩から好きな言葉を選んでしおりに書き抜き、「言葉であそぼう!」では「ズイズイズッコロ橋」をしたり「野菜の気持ち」で遊んだりしました。初めての試みで思いがけないことも色々ありましたが、学生にとっては子どもの目線に立つことの大切さを学び、改めて言葉と音楽に向き合う経験になったようです。

来場者アンケートでは「《箱根八里》《うぐいす》の高音にふるえました」「今まで見過ごしていた日本語の美しさ、楽しさを再発見した一時でした。美しい歌声、力強さに感動しました。ピアノの伴奏もすばらしかった」といった声が多く、演奏者の力量が圧倒的だったことがよく伝わってきます。また、「いろいろな企画案に思いがこめられているのを感じ、とてもいいと思った」「ズイズイズッコロ橋がおもしろかった」といったうれしい感想も頂きました。

「子どもの詩コンクール新曲発表」については、「阪本さん作詞の曲が音楽の教科書に載ってますます広まって色々な人が歌えるようになるといいな」との声もあり、関係者一同喜んでいます。
初めての試みで、文字通り試行錯誤だった開演前ワークショップについても、「学生さんたちがいろいろ工夫していて楽しめた」「いろんな詩を母とゆっくり読むことができた」「どこで何をやっているのかがちょっとわかりにくかった」といったお声を頂きました。

神戸公演では、神戸新聞社ならびに神戸新聞文化財団の共催を得て、広報やホール利用などで全面的な協力を頂きました。シリーズ初の東京公演では、東京音楽大学アクト・プロジェクト、クラブファンタジー(神戸女学院大学音楽学部同窓会)東京支部、めぐみ会東京支部の協力を頂き、「子どもの詩コンクール」審査委員の東直子氏、同審査委員長の松岡享子氏、作曲者の増本伎共子氏も来場下さいました。ここに記して感謝いたします。 

(津上智実・記)

2008年7月22日〜26日
グレゴリー先生ワークショップ

7月22日から5日間、英国ロンドンのギルドホール音楽院からショーン・グレゴリー先生(作曲家、プロフェッショナル・ディヴェロプメント学科長)をお迎えして音楽作りワークショップを行いました。これは昨年11月に続いて2度目です。

7月22日朝、成田空港に着いたグレゴリー先生は女学院に直行して通訳コースとのブリーフィングをこなし、夕方六時半からさっそく第1回のセッションを学生たちと持ちました。 受講者はアウトリーチ履修生(4年生)が中心で、ほとんどが昨秋のワークショップの経験者です。飛び入りの下級生や大学院生、それにこの春の卒業生も参加して(わざわざ広島から駆けつけてくれた人もいました)総勢25名、和気あいあいと進みます。

参加者全員が大きく円形に並んでのウォーミング・アップ、クラッピング、即興によるリズム遊び、名前のゲームといった基本をおさらいした後、今年のテーマ「惑星(プラネット)」へ進みました。これはギルドホール音楽院がロンドンで地域の子どもたちを巻き込んで展開しているプロジェクト「コネクト」の1つ「グローブタウン」プロジェクトの今年のテーマでもあり、ロンドンでの実践の様子を録画で一部見せて頂きました。「グローブタウン」では、ロンドン市内東部の小中高校での活動に加えて、同一のテーマによって各国各地で各々のセッションを積み上げた上で、最後にギルドホール音楽院のホールに集まって合同演奏という形で共同の音楽作りの場を持つという大きな構想のプロジェクトを年々展開しています。女学院の学生たちも先々自分たちの音楽的アイディアを引っさげてロンドンに赴き、「グローブタウン」プロジェクトの一翼を担うことができれば、と思わず夢をふくらませてしまいました。

さて、学生を3つのグループに分けて「惑星(プラネット)」というテーマで自由にイメージを挙げてもらったところ、びっくりするほどたくさんのアイディアが出されて、それらが(1)近未来の惑星、(2)黄色い花の小さな惑星、(3)2面性をもつ惑星、という3つの惑星に収斂しました。例えば「近未来の惑星」では「霧に包まれている」「金粉がキラキラしている」「8本足の住人たちがいる」「王子様と王女様の仲が悪い」「仲直りする」といったアイディアが出されて、それが「ヴァイオリンや打楽器をこする音」「パーカッションのキラキラした音」「木魚で8拍子を刻む」「ぶつかりあう和音を弾く」「デュエットする」といった音楽的なアイディアに転換されていきます。どんなに突飛なアイディアでも否定せずに受け入れて、それらを巧みに音楽的に意味のあるものに導いていくグレゴリー先生の懐の深さに改めて感じ入りました。

また学生たちから歌詞と旋律のアイディアを引き出して、歌も4種類ができました。(1)「Let’s go to the space, lalala」、(2)「みんな友だち、みんな友だち、エィー」、(3)「はるかな宇宙の旅、あふれる思い、止まらない」、(4)「Falling stars, shooting stars」の4種類ですが、いずれも8小節で、同じ和声反復の上で自由に創作したものなので、どのようにも組み合わせることができます。なお「はるかな宇宙の旅、あふれる思い、止まらない」には踊りの振りまでつきました。

こうして4日間かけて学んだ音楽作りのプロセスを、学生たちが子どもたちを相手に実践する場として、最終日の26日(土)に第2回「子どものための音楽作りワークショップ、音で遊ぼう!」を音楽館ホールで開催しました。近隣の子どもたち13人が参加してくれて、朝10時から夕方5時まで、1日かけて参加者全員で曲を作っていきました。学生にとっては正に仕上げのワークショップで、子どもたちとコミュニケーションを取ることから始めて、音楽的なアイディアを引き出したり、それらをうまく整理したりといったことに真剣に取り組んで汗をかいていました。

最終的に出来上がったのはストーリーつきの30分程の大きな曲で、お迎えの保護者の皆様を前に、1日の成果披露のミニ・コンサートを行いました。全体は、神戸で宇宙船を作って船出し、3つの惑星を巡って、最後に地球に戻ってくるという筋です。まずパーカッションで宇宙船を作っている様子を表現し、次に歌で出発します(4年生の中村亜彌子さんの指揮で、上記の4つの歌を順に歌った後、次々に重ねていきます)。続いて、3つのグループが各々作った曲を順に披露し(子どもたちもピアニカやリコーダー、パーカッションなどで自分たちのアイディアを披露して活躍)、様々な楽器のアンサンブルで地球に帰還して、最後にお祝いの歌を歌いました。これは南アフリカの「マリーズウェイ、ブエレカヤ、ティナッセフナッハ」という歌で、手拍子や足のステップも加わり、テンポを上げて盛り上がって終わりました。

学生からは「なかなか打ち解けてくれない子がいて苦労したが、午後には仲良くなれたのでうれしかった」「子どもたちが次々とアイディアを出してくるので、交通整理が大変だったがやりがいがあった」、子どもたちからは「楽しかった」「またやりたい」との声がありました。 今回も前回と同様、本学大学院文学研究科の通訳・翻訳コースの皆様に同時通訳で支えて頂きました。4日間にわたって会場を提供して頂いためぐみ同窓会館にも御礼申し上げます。

西宮市立西宮浜小学校の高橋詩穂先生がプール指導などで多忙の中、連日熱心に通って来られて、学生たちにはよい刺激になりました。教員試験の受験を控えた学生の中には、いろいろと質問して経験談を聞かせて頂いた者もいます。

最終日には東京音楽大学の武石みどり先生(アクト・プロジェクト・マネジャー)と朝日新聞社の宮田由美子さん(事業本部・朝日ホール企画営業担当)が見学に来られ、武石先生は子どもたちと一緒に楽しそうにワークショップの輪に加わって下さいました。 文部科学省からの特色GP補助金も今年度限りですが、音楽を介したコミュニケーションの意味と可能性を大きく豊かに開いてくれるギルドホール音楽院の教育システムとの連携は、今後もぜひ続けていきたいと思っています。関係各位のご理解とご協力をお願い致します。

なお、昨秋の第1回ワークショプで才能を見出されたヴァイオリン専攻の東瑛子さんは、この9月からギルドホール音楽院修士課程に授業料半額免除の奨学生として留学しました。女学院の大学院音楽研究科を休学して、2年間で「リーダーシップ修士号」を取得してくる予定です。ご期待ください。

(津上智実・記)

2008年7月5日
子どものための七夕コンサート 〜きらきら輝く音楽との出逢い〜

七夕コンサート 7月5日(土)、本学講堂にて「子どものための七夕コンサート 〜きらきら輝く音楽との出逢い〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第21回)を開催しました(第1部11時〜、第2部15時〜、来場者数723名)。

「音楽によるアウトリーチ」履修生(4年生)6名と賛助出演7名の総勢13名が出演。織姫と彦星のストーリーを題材に、ピアノ、フルート、ヴァイオリン、クラリネットのアンサンブル、重唱やマリンバのソロなど多彩な組み合わせでお届けしました(声楽・藤田理世、金岡伶奈、先間恵子、フルート・中村亜彌子、ピアノ・井上智恵子、友田麻衣加、南方今日子、式地紗綾香、山本あゆ、和田梢、ヴァイオリン・東瑛子、マリンバ・金鹿千紘、クラリネット・田中富規子)。

モーツァルトの歌劇《フィガロの結婚》序曲で幕開け。下総ユ一〈たなばたさま〉を3重唱で歌った後、この曲をピアノで演奏しながら七夕のお話をしました。織姫が登場して、彦星に連絡しようと携帯電話を取り出しますが、なぜか通じません。振りすぎて携帯電話が飛んで壊れてしまいます。クラリネット独奏でフランス童謡〈クラリネットをこわしちゃった〉、ピアノ連弾でプロコフィエフの組曲《ロミオとジュリエット》より〈モンタギュー家とキャピレット家〉と、ドヴォルザークの〈スラブ舞曲〉作品72-2、マリンバ独奏で〈星に願いを〉と各楽器の音色を生かした曲で盛り上げます。

モーツァルトの歌劇《魔笛》より夜の女王のアリア〈地獄の復讐が私の心の中で〉を歌って魔女が登場。魔女は織姫と彦星が会えるよう、魔法の言葉〈ビビデ・バビデ・ブー〉を会場の子どもたちと声を合わせて歌いました。

妖精も登場して、織姫とモーツァルト《フィガロの結婚》より〈手紙の2重唱〉を歌い、アンダーソン〈タイプライター〉で彦星へお手紙をしたためる場面を表現。それを受け取って読んだ彦星はいよいよ織姫のもとへ。無事再会を果たすことができた2人はレハール〈メリー・ウィドウ・ワルツ〉の音楽で天の川へと出かけていきます。最後はモーツァルト〈きらきら星変奏曲〉を会場の皆さんと歌って締めくくりました。

副題にもあるように、今回のねらいは「きらきら輝く音楽との出逢い」を子どもたちと共有すること。子どもたちが飽きずに集中して聴くことができるよう、楽しかったと思ってもらえるプログラム作りを目指しました。馴染みのある曲や今話題の曲を随所に取り入れたり、ナレーションも特訓を受けたりして、よりよく言葉を伝えられるよう練習しました。

演出にもひと工夫。「現代風・織姫と彦星の七夕デート」という趣向に沿って、おもしろく、かつ矛盾の少ないストーリーを考えました。劇をさらに盛り上げるために、織姫が彦星に連絡をとるための携帯電話、織姫の羽衣のストール、タイプライター、手紙、待ち合わせの場所を示す「天の川7丁目」の看板などの小道具も用意しました。

準備は非常に大切で、いくらやっても足りないという位でなければと思いました。当日に何か変更やハプニングがあっても臨機応変に対応できるだけの余裕を持てるよう準備しておかなければいけないと感じました。

お客様からは「楽しかった」という声をたくさん頂いて、大きな達成感を得ることができました。スタッフや出演者(特に賛助出演の友人たち)からもやりがいがあったよと言ってもらえて、こんなコンサートを生み出した私たちはすごい! と思えました。何より、子どもたちが帰り際に笑顔で「ありがとう」と言ってくれたのが嬉しく、大成功のコンサートとなりました。

(井上智恵子・記)

2008年6月6日
仲道郁代講演会「ベートーヴェンとイメージ」

仲道郁代氏講演会 6月6日(金)、本学音楽館ホールにてピアニスト仲道郁代氏をお迎えしてレクチャー・コンサートを開催しました。 今回で4回目となる講演会のテーマは「ベートーヴェンとイメージ」。仲道さんがライフワークとして全曲演奏に取り組んでいらっしゃるベートーヴェンのソナタについて、その音楽のイメージと演奏という視点から、実際の演奏を交えながらお話を頂きました。

まず、ベートーヴェンのソナタ全32作品の大きな流れについてのお話。ベートーヴェンの試みを読み解くことで、何を伝えようとしたのかを掴み出していきます。後のオーケストラ作品や弦楽4重奏曲等につながる特徴を持ったフレーズの出現、楽章構成や調性の特徴と留意点、楽想記号の表記、標題などの視点から各作品を分析していきました。

例えば〈月光〉。形式面などでベートーヴェンが大きな試みを行い、感情の形式さえもが書き込まれるようになった作品です。この曲は、各楽章のテンポ設定の新しさ、第1楽章に現れるモティーフが他楽章でも用いられることで、各楽章が関連性をもって展開されているといったおもしろさがあります。

楽譜を深く読み込むほどに、ベートーヴェンがいかに緻密な作品作りを行なったかを理解することができました。そうした理解が、ベートーヴェンの作品をどう演奏するかのヒントになり、その解釈一つで演奏が全く違うものになっていくことを仲道さんの演奏を通して感じることができました。各ソナタの特徴が明らかになるばかりでなく、全32曲の大きな関連性が見えてきて、大変興味深く感じました。

レクチャー・コンサート後、本学学生とのディスカッションの場を設けました。今回のレクチャーから感じたこと、学んだこと、疑問点などを学生が発言すると、そこから問題の核心を読み取って丁寧に答えて下さいました。「子どものための七夕コンサート」を間近に控えていたので、よりよい演奏会にするための助言も仲道さんから頂きました。曲に対する子どもたちのイメージを限定してしまわないこと、体を動かしたりリズムで遊んだり、子どもたちがアクティブに入り込める部分を組み入れてプログラムにメリハリをつけることなど、仲道さんのこれまでの経験からさまざまなアドバイスを頂きました。

レクチャー・コンサートとディスカッションとで、年に1回の貴重な仲道さんとの時間がより充実した有意義なものになりました。

(寺澤彩・記)

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