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2017年度コンサート記録

2017年7月1日
子どものための七夕コンサート〜みんなで奏でる愛のハーモニー〜

 「子どものための七夕コンサート〜みんなで奏でる愛のハーモニー〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第47回)を7月1日(土)、本学講堂で開催しました(第1部11 時開演、第2部15時開演、来場者数・第1部393名/第2部132名、計525名)。

出演は「音楽によるアウトリーチ」履修生を中心に、ピアノ(城ケ崎彩圭、松本祐佳、太田春菜、渡部里紗)、声楽(糸田麻里絵、高橋輝、種村ひかり、上野緑)、フルート(浄弘知佳子)の九名が力を合わせました。

 このコンサートは、七夕のお話を軸に、物語を進めながら曲の説明も挟んで演奏に入るという形をとりました。  開幕はグスターヴ・ホルストの組曲《惑星》より〈木星〉を2台ピアノで演奏し、物語の舞台である星の世界への入り口としました。挨拶と趣旨説明に続いて、七夕物語の朗読が始まり、ここから物語に沿って進んでいきます。

 まずは織姫と彦星の愛の語らいとして、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作のオペラ《エジプトのジュリアス・シーザー》より二重唱〈愛しい人よ!美しい人よ!〉を演奏。次にフルートが登場し、フルートに関するクイズをしました。三択式で手を上げてもらい、豆知識も紹介すると会場から反応があって手応えを感じました。フルート独奏でアントニン・ドヴォルジャークの〈ユーモレスク〉を演奏し、織姫と彦星が楽しく過ごしている様子を感じてもらいました。

 続いてフランツ・シューベルトの〈魔王〉をピアノ連弾で演奏し、仕事をさぼり始めた2人に怒った神様が2人を引き離す場面としました。悲しみに暮れた織姫が、神様に彦星と会わせてほしいと願う場面では、ソプラノ独唱でジャコモ・プッチーニ作のオペラ《ジャンニ・スキッキ》より〈私のお父様〉を歌いました。こうして織姫の願いが届き、七夕の日のみ会ってよいと許されて、再会を待ち望む様子を、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作のオペラ《フィガロの結婚》より〈早くおいで、素晴らしい喜びよ〉のソプラノ独唱で歌いました。
 ここで、二人が会えるように会場のお客様と協力して川に星の橋をかけようというアクティビティをしました。成功すると星の橋が架かり、織姫と彦星が再び会えるというものです。フランス民謡〈きらきら星〉を使って2つのリズムを用意しました。織姫のリズムは機織の音を入れて「おりひめ とんからりん」、彦星のリズムは牛飼いにふさわしく「ひこぼし モーモー」とし、この2つを会場全体で練習した後、会場を2つのグループに分けて交互に叩いたり、叩きながら歌ったり、また1部と2部で難易度を変えるなどの工夫もしました。

 それまでずっと聞き手だったお客様ですが、このアクティビティを通して会場が1つになった感覚がありました。  星の橋が架かって二人が再会を果たす場面で、ミュージカル映画《オズの魔法使い》より、「強く信じれば願いは叶う」という意味が含まれている、ハロルド・アーレン作曲の〈虹の彼方に〉をメゾ・ソプラノとフルートで演奏。再会を喜ぶ二人を祝福する場面では、ジュゼッペ・ヴェルディ作のオペラ《椿姫》より〈乾杯の歌〉を声楽4重唱にアレンジして歌いました。

 続いて、様々な童謡を入れた〈童謡メドレー〉(松尾璃奈編曲)です。知っている曲は会場のお客様も一緒に歌ってもらう形式にしたのですが、その前に身体は楽器であるという説明をしてから軽く身体をほぐしました。メドレーの曲には、子どもに馴染みがある曲とそうでない曲があり、親子の交流の場にもなった様子でした。最後は下総皖一作曲〈たなばたさま〉を会場のお客様と歌って締めくくりました。  終演後にオルガン、トーンチャイム、ヴァイオリン、チェロ、フルートの楽器体験コーナーを設け、たくさんの子どもたちが参加してくれました。

 このコンサートのテーマは、「みんなで奏でる愛のハーモニー」という副題にもあるように、「ハーモニー」です。曲の説明の中でアンサンブルとは「心を合わせて演奏すること」と噛み砕いて説明したり、アクティビティ等を通して会場のお客様とともにハーモニーを作りだしたり、コンサートの目的を実現することができたのではないかと思います。

(高橋輝・記)



2017年10月14日
第8回 音で遊ぼう!子どものための音楽作りワークショップ

 10月14日(土)9時30分から16時まで音楽館ホールで第8回「楽器で遊ぼう!子どものための音楽作りワークショップ」を行いました。これは本学音楽学部が東京音楽大学との連携プロジェクトの一環として実施している音楽作りワークショップ特別研修(10月10、11、13、14日の計4日間)の最終日に、学生の学びの仕上げとして企画されたものです。

 当日の子どもの参加者は小学1年生から5年生までの計20人。講師はオリヴィア・ブラッドベリー、ジェームズ・アダムス、東瑛子の3名(いずれも英国ギルドホール音楽院の大学院修士課程リーダーシップ・コース修了者)で、参加学生は院生・卒業生を含めピアノ4人、ミュージック・クリエィション3人、声楽2人、パーカッション、オーボエ各1人、その他1人の計12名です。

 「身近な音から音楽を作る」を目的として、秋をテーマに「自然」「天候」「祭り」の3グループに分かれて曲作りをし、それらを組み合わせて1つの曲としました。 まず、沖縄民謡の〈エイサー〉を使って体をほぐしたり、〈どんぐりころころ〉と〈虫のこえ〉の一部を歌ったりして、場の雰囲気に慣れたところで、各人が自分の名前を体の動きと共に紹介しました。1人だと恥ずかしい子も、学生と一緒なら名前を言うことができました。 次に各自が楽器を持って、皆で短い曲を作りました。講師の巧みなリーディングでどんどん曲が変化していく様子に、子どもたちも楽しそうでした。

 楽器の種別に3つのグループに分かれて、曲作りを始めました。1グループ6、7人の子どもに講師1人と3、4人の学生で、5分程度の曲を作りました。子どもからグループのテーマに合った音を聞き出し、学生がリードしました。いろいろと工夫が必要で、予定以上に時間がかかりましたが、たくさんの意見を出し合うことができました。 3グループの曲と最初に作った短い曲とを繋いで1つの曲にまとめ上げ、お迎えの保護者の前で発表しました。短い練習時間でしたが、全員で集中して演奏することができたので、たくさんの拍手を頂きました。 子どもたちが「楽しかった!」「次も来たい!」と口々に言ってくれたり、反省会では1人1人の疑問に講師の3人が丁寧に答えてくれたりして、充実した時間になりました。

(久笹怜芳・記)


2017年10月28日
子どものためのスペシャル・コンサート〜指揮者ってなあに?〜

 「子どものための・スペシャル・コンサート〜指揮者ってなあに?〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第48回)を10月28日(土)、本学講堂で開催しました(11時開演、来場者・子ども110名、大人135名、計245名)。

 出演は、指揮者の松浦修(本学音楽学部専任講師)を中心に、ピアノの金丸史奈(本学大学院音楽研究科1年生)と高津小百合(音楽学部1年生)の2名、パーカッションの山田りさ(大学院音楽研究科2年生)と前田紗希(同1年生)、山下すみれと山本瑞葉(共に音楽学部3年生)の4名、そして語りの高橋輝(同4年生)の計8名です。 舞台上でただ1人音を出さない出演者である指揮者が、一体何をしているのかを子どもたちに分かりやすく伝えるために、オーケストラ曲をピアノとパーカッションのアンサンブルに編曲して(いずれも松浦修編曲)お話と演奏で綴りました。

 会場後方から入場してきた出演者が舞台に上って、まずはロッシーニ作曲《ウィリアム・テル序曲》(抜粋)(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、トライアングル、バスドラム)を華やかに演奏。 アナウンサーが登場して、あいさつと本日の趣旨を簡潔に伝え、出演者の紹介を行いました。 前半のメインに、佐渡裕の絵本『はじめてのオーケストラ』(小学館、2016、絵:はたこうしろう)を使って、そこに出てくるベートーヴェンの第九の演奏を交えながら、指揮者の仕事のすばらしさを伝えます。スクリーンに絵本の画像を映し出し、語りの進行に従って、ベートーヴェン作曲《交響曲第9番》の4つの楽章から抜粋(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、トライアングル、バスドラム)を演奏して、指揮者は「指揮棒でみんなの気持ちとたくさんの音を1つの音楽に導く」と伝えました。

 次に、指揮者の役割をお話と実演で具体的に示します。@「曲想を示す」役割をチャイコフスキー作曲《白鳥の湖》より〈情景〉(2台ピアノ、ティンパニー)で、A「合図を出す」役割を同曲の〈スペインの踊り〉(ピアノ、ティンパニー、タンバリン、カスタネット)で、B「テンポを示す」役割を同じく〈チャルダッシュ〉(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、トライアングル、バスドラム)で示しました。ビデオ・カメラで撮った指揮者の表情をスクリーンに映し出したり、タンバリンとカスタネットがさまざまな奏法を見せながら会場を練り歩いたりといった工夫をしました。 前半の締め括りは、ハチャトゥリアン作曲〈剣の舞〉(ピアノ、ティンパニー、スネアドラム、シロフォン、チューブラーベル)。よく知っている曲をお姉さんたちが本気で弾いたので、子どもたちも食い入るように聴いていました。

 休憩後は「体験してみよう」のコーナー。会場から希望の子どもを募って、指揮台から指揮に挑戦です。曲はビゼー作曲《カルメン》より〈前奏曲〉(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、トライアングル、バスドラム)で、子どもの棒の振り方によって速くなったり遅くなったりしました。 最後に、ムソルグスキー作曲の組曲《展覧会の絵》を語りつきの抜粋で演奏しました。堂々とした〈プロムナード〉(2台ピアノ)に始まって、ちょっと怖い〈グノーム〉(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、スネアドラム、ラチェット、ムチ)、重々しい〈ビドロ〉(2台ピアノ、ティンパニー、スネアドラム、バスドラム)、一転して軽快な〈卵の殻をつけた雛の踊り〉(2台ピアノ、ティンパニー、シンバル、トライアングル、スネアドラム)、沈み込むような〈死者とともに死の言葉で〉(2台ピアノ)と進み、〈バーバ・ヤガーの小屋〉(2台ピアノ、ティンパニー、トライアングル、スネアドラム、シンバル、バスドラム、タムタム、シロフォン)で高まった緊張感を、〈キエフの大門〉(2台ピアノ、ティンパニー、トライアングル、シンバル、バスドラム、タムタム、チューブラーベル)で高らかに解放して、90分の充実したコンサートを終えました。

終演後の楽器体験でも、フルートとヴァイオリンに加えて「指揮者体験」や「いろいろな打楽器の体験」コーナーが設けられて、活況を呈しました。 会場アンケートでは、「指揮者の役割が子どもにもよく分かってよかった」「日頃使っているタンバリンやカスタネットが魅力的に見えた」「打楽器の種類が多く、ふだん見ることのない楽器に触われて喜んでいた」といった意見を頂きました。

(津上智実・記)



2017年12月9日
子どものためのクリスマス・コンサート〜わたしのステキなプレゼント〜

 「子どものためのクリスマス・コンサート〜わたしのステキなプレゼント〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第49回)を12月9日(土)、本学講堂で開催しました(11時と15時半の2回公演、来場者は計730名)。

  出演は本学大学院音楽研究科1年生の荒木この美(声楽)、市川真衣、金丸史奈、鹿島久美子、中まゆり(以上、ピアノ)、岩本紗綾(ハープ)、前田紗希(パーカッション)の7名です。子どもにとってクリスマスといえば、プレゼント!ということで、今回は舞台上に置かれたいくつものクリスマス・プレゼントを1つ1つ開けていきながら、プレゼントのモチーフにちなんだ曲を演奏するというストーリー仕立てのコンサートとしました。

  オープニングは、影アナの鹿島がこのコンサートのコンセプトを紹介したのち、チャイコフスキー作曲《くるみ割り人形》より〈金平糖の踊り〉をピアノ、ハープ、グロッケンの編成で演奏しました。そして、本日のコンサートの進行役兼ストーリーの主人公である「女の子」役の荒木が舞台に登場します。1つ目のプレゼントを開けると、中からは花束が出てきました。「お花のいい香りに包まれて、なんだか踊りだしたくなっちゃう!」というセリフに続いて、オープニングと同じ《くるみ割り人形》より〈花のワルツ〉をピアノ連弾とハープで演奏しました。

 2つ目のプレゼントの中身は天使の人形で、演奏したのはマスカーニ作曲〈アヴェ・マリア〉。ハープとマリンバのまろやかな音色とソプラノの声が交じり合い、会場の子どもたちも聴き入ってくれました。演奏に続いて、ハープとマリンバの楽器紹介が行われ、ハープは岩本、マリンバは前田がそれぞれの楽器の魅力を伝えました。特に、ハープの足元に七本のペダルがついているという説明には「知らなかった」という声も上がり、実演すると大人も子どもも興味津々の様子でした。マリンバの説明では、見た目はピアノの鍵盤と似ていることや、マレットを片手に2本ずつ、計4本を持って演奏するということをメインに紹介しました。

 「次はどのプレゼントを開けてみようかなあ」と言うと、「あれがいい」「これがいい」という子どもたちの反応を受けて、次の箱を開けると中身はマラカス。マラカスからはサンバを連想し、ミヨー作曲の《スカラムーシュ》より〈ブラジルの女〉を2台ピアノで演奏しました。また、先に演奏したワルツとサンバとの違いも説明しました。  ここで前半のプログラムを終え、市川と金丸の進行でアクティビティのコーナーへと移ります。〈きらきら星〉の音楽に合わせて、会場全体が一体となってリズム遊びをしました。2種類のリズム・パターンを最初はゆっくりとしましたが、最後には「歌いながら速く」という指示に、子どもだけでなく大人も夢中になっているのが印象的でした。「リズム遊びが楽しかったから家に帰ってもやってみます」という感想が終演後に上がるほどの盛り上がりを見せました。

 後半のプログラムは、ドビュッシー作曲〈月の光〉から始まりました。ピアノ独奏曲として有名なこの曲を、今回はハープとマリンバの編成で演奏しました。楽器紹介をした後の演奏であったためか、子どもたちはハープのペダルの動きやマリンバの演奏の様子も真剣に見ながら聴いているようでした。  続いて、「みて、みて!こんなところにもプレゼントがあったよ!」と聞こえてくる声に会場中がキョロキョロ。客席後部の2階ベランダから小さなグランド・ピアノの模型を見せたあと、ピアノ・ソロによるショパン作曲の〈黒鍵〉がはじまると、再び舞台上へ注目が集まりました。  最後の演奏曲は、バーンスタイン作曲のオペラ《キャンディード》より〈きらびやかに着飾って〉です。ユニークな曲調に合わせて、プレゼント・ボックスからネックレスを出したり、伴奏の金丸が前に出て踊ったり、途中、女の子が泣く場面では笑い声が上がるなど、コミカルな演出で盛り上がりを見せました。  舞台上に残る最後のプレゼントを開けると、中身は空っぽ。ここで「本当に大切なものは目に見えないんだよ」という言葉と共に、誰かを大切に思う気持ちこそ贈り物になるということを伝えました。

 ストーリー仕立てによる演奏が終わった後、松尾璃奈編曲の〈クリスマス・メドレー〉を会場にいる全員で歌いました。有名なクリスマス・ソングで構成されていたので、歌詞カードを見なくても大きな声で楽しそうに歌っている子どもたちがたくさんいました。  終演後は、恒例の楽器体験コーナーです。ピアノにマリンバ、ヴァイオリン、トーン・チャイム、そしてハープも登場し、珍しい楽器の体験に長蛇の列ができました。出演者によるお見送りでは、一緒に写真を撮ったり、「楽しかった」「音楽やってみたくなったよ」という声を直接聞いたりすることができて、こちらも自然と笑顔が溢れました。

(荒木この美・記)



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