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2018年度コンサート記録

2018年7月14日
子どものための七夕コンサート 五色の短冊に願いを 〜みんなで奏でる夢のメロディー〜

 「子どものための七夕コンサート 五色の短冊に願いを 〜みんなで奏でる夢のメロディー〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第50回)を7月14日(土)、本学音楽館ホールで開催しました(第1部11時開演、第2部15時開演、来場者数・第1部133名、第2部94名、計227名)。  出演は「音楽によるアウトリーチ」履修生を中心に、声楽・草野舞、山下優子、ピアノ・藤井花織、向井千沙都、ピアノ/オルガン・齋藤明日香、作曲・本田瑠璃、打楽器・山下すみれ、山本瑞葉、ヴァイオリン・宮下優花の9名が力を合わせました。

 このコンサートでは七夕を過ごしたある家族の願いを五色の短冊になぞらえて物語にし、影アナウンスとプロジェクターでお話の世界を表現しつつ、舞台で進行する音楽の世界との2本立てにする形で進めました。挨拶の後にヨハン・シュトラウス2世作曲〈美しく青きドナウ〉をピアノ二台八手で演奏しました。 ここからある家族(お父さん、お母さん、女の子、男の子、犬の5人)1人1人のお願いごとを通して物語を進めていきます。お願いごとが決まらない子どもたちに、お父さんが短冊の色には1つ1つ意味があるということを教えます。そしてお父さんは青色の短冊(みんなに優しくするという意)にお願いごとを書きます。お父さんのお願いごととしてJ.S.バッハの〈チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調〉を演奏しました(二台ピアノ)。

 次に女の子が黄色の短冊(友だちを大切にするという意)に「お友だちとずっと仲よく楽しく遊ぶこと」とお願いごとを書きます。そこでバーンスタイン作曲のミュージカル《ウェストサイドストーリー》より〈素敵な気持ち〉で、女の子のワクワクした気持ちを表現しました(ソプラノ二重唱、タンバリン、ピアノ)。ここではタンバリンが登場し、手だけではなく足を使っても叩くことができるということを紹介しました。 続いては犬のポチのお願いごととしてショパン作曲の〈小犬のワルツ〉を演奏しました(ピアノ独奏)。ポチは白い短冊(決まりごとを守るという意)に「この街のおまわりさんになりたい」と書きました。そこでポチの夢を応援するため、会場の皆様と一緒に〈犬のおまわりさん〉を歌いました。 次にヴァイオリンが登場し、インタビュー形式で弓や指を使った時の音色の違いを様々な曲でわかりやすく紹介しました。その後、ヴァイオリンの繊細な音色でマスネ作曲の〈タイスの瞑想曲〉を演奏しました。 続いて男の子が紫色の短冊(夢に向かってがんばるという意)に「運動会のかけっこで一等賞をとる」と書きます。男の子が練習で家中走り回る様子を表現するために、カバレフスキー作曲の〈道化師のギャロップ〉を演奏しました(マリンバ、ピアノ)。ここではマリンバが木の板と金属のパイプでできていること、マレットにより音色が違うことを紹介しました。

 走るのに夢中になっていた男の子はお母さんのお皿を割ってしまい、お母さんに怒られてしまいます。ここでお母さんの怒った様子を表現するために、モーツァルト作曲のオペラ《魔笛》より〈夜の女王のアリア〉を演奏しました(独唱、ピアノ)。お母さんはただ怒ったのではなく、お皿が割れて怪我をしたら大変だから怒ったのです。お母さんは家族がいつまでも健康で幸せに暮らせますようにとの願いを込めて赤色の短冊(ありがとうという意)に書きました。お母さんのお願いごとを表現するために、マスカーニ作曲のオペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》より〈アヴェ・マリア〉を演奏しました(独唱、オルガン)。

 ここで雰囲気をガラッと変えて、会場の皆様と一緒に七夕の由来を知って、体を動かすアクティビティをしました。〈たなばたさま〉の曲に合わせて五色の短冊の意味になぞらえた火、水、木、金、土の5つのリズムで会場の皆さんとリズム遊びをしました。  次にホルスト作曲の組曲《惑星》より〈木星〉をトーンチャイムやマリンバなどの打楽器やヴァイオリン、二重唱、ピアノの編成にアレンジして演奏しました。トーンチャイムの音から始まって会場をお空の世界へと誘いました。最後は〈きらきら星〉〈うみ〉〈たなばたさま〉の七夕メドレーを会場の皆様と歌って締めくくりました。 今年の七夕コンサートでは短冊の色に込められた思いを知ってもらいたいということから「五色の短冊に願いを」という副題にしました。また曲によって様々なテンポがあり、それがどんな気持ちを表しているかを感じてもらうために工夫しました。終演後にはオルガン、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、フルートの楽器体験コーナーを設け、たくさんの子どもたちが参加してくれました。

(山下優子・記)


2018年9月15日
第9回 音で遊ぼう!子どものための音楽作りワークショップ

「第9回 音で遊ぼう!子どものための音楽作りワークショップ」を9月15日(土)、本学音楽館ホールで開催しました(9時30分開始・16時終了、子どもの参加者11名)。

講師は、オリヴィア・ブラッドベリー、ジェームズ・アダムス、東瑛子のロンドン市立ギルドホール音楽院大学院修士課程リーダーシップ課程修了の3名です。参加学生は、本学学生と卒業生で、ピアノ専攻2人、声楽専攻5人、ヴァイオリン専攻1人、打楽器専攻2人、作曲専攻1人の計11名が参加しました。

 このワークショップは、楽譜から音楽を奏でるのではなく、音楽を一から作り上げていくことが目的でした。学生は9月12日からの3日間、「音楽作りワークショップ特別研修」を受けて準備をし、最終日の15日にその仕上げとして子どもたちとワークショップを行いました。

 当日はまず、ウォーミング・アップから始まりました。リズムに合わせて自己紹介をしたり、〈幸せなら手をたたこう〉の歌で手を叩いたり、〈ドレミのうた〉に乗せて音階の高さを身体で表現したりしました。初めは恥ずかしがっていた子どもたちも、次第に大きく身体を動かすようになっていきました。次に、「3人の太郎(Three TARO’S)」というテーマを基に一つの音楽を作るために、全体を「桃太郎」「金太郎」「浦島太郎」の3つのグループに分け、それぞれが音楽作りを始めました。私が携わった「桃太郎」のグループでは、子どもたちに桃太郎の物語の印象に残っているシーンを尋ね、そこから連想される音やリズムをモチーフに音楽づくりをしました。子どもたちから次々と湧き出てくるアイデアに驚かされる中、どの音楽の素材を使っていくか、グループ全員で試行錯誤しながら「桃太郎」の音楽を作りました。

 3つのグループが作った音楽は使用楽器や曲調が様々でした。これらを一つにするため、3つの太郎に共通の曲を作り、それを基に繋ぎ合わせ、全員で曲のクライマックスを作って、1つの大きな曲へと組み上げました。 最後に、できた曲を保護者の皆さんに披露し、大きな拍手をいただきました。終了後には、子どもたちから「楽しかった」「来年も来たい」という言葉を聞き、音楽を一緒に作ることができてよかったと感じました。

(和田茉弓・記)


2018年10月13日
子どものためのスペシャル・コンサート〜ハープの魅力を満喫しよう!〜

「子どものためのスペシャル・コンサート〜ハープの魅力を満喫しよう!〜(「子どものためのコンサート・シリーズ」第51回)を10月13日(土)、本学講堂で開催しました(14時開演、60分、来場者・子ども75名、大人89名、計164名)。

 出演は、日本を代表するハーピストの木村茉莉先生(本学音楽学部非常勤講師)、寺澤彩先生(本学卒業生、音楽学部非常勤講師)と私、岩本紗綾(本学大学院音楽研究科2年生)の3名のハープ奏者です。

 オープニングハープの魅力を存分に知ってもらうために、舞台にはグランド・ハープを3台並べて、見た目も華やかにコンサートを始めました。珍しい作曲家の作品も数多く登場するので、興味をもってもらえるようプロジェクターで作曲者の顔を映して、作曲者と曲の紹介を交えて進行しました。

 オープニングは、フランス生まれのカルロス・サルツェードが作曲した組曲《8つの舞曲》より〈ルンバ〉を3台ハープで演奏しました。かわいらしい曲調で、華やかな幕開けとなりました。 続いて、ハープ奏者でパリ音楽院教授を務めたマルセル・トゥルニエの作品を2曲演奏しました。1曲目は2台ハープによる《4つのプレリュード》より〈第1番〉と〈第4番〉。2曲目は木村先生のソロで、ハープらしい流れるような旋律の〈朝に〉です。

 次に、ガブリエル・フォーレ作曲〈子守歌〉を3台ハープで演奏しました。1曲目に弾いたトリオの印象とはまた違った、しっとりと優しいハープの演奏を楽しんでもらいました。 プログラム前半の最後は、木村先生のソロによる黛敏郎作曲〈ROKUDAN〉です。この曲は筝曲の〈六段の調べ〉をハープのために編曲したもので、ハープの特殊奏法がたくさん出てきます。まずは舞台に琴を出して、「みなさん、この楽器を知っていますか?」と聞くと、子どもたちは元気に「お琴!」と答えてくれました。寺澤先生が琴の説明をして原曲の八橋検校作曲〈六段の調べ〉の始めのフレーズを弾いたので、少しむずかしい曲も興味を持って聴いてもらえました。木村先生の独奏の後、〈ROKUDAN〉に登場した特殊奏法を、実演を交えながら説明しました。ハープから出る不思議な音に、子どもたちは興味津々の様子でした。

 ここで「ハープってどんな楽器?」というコーナーを設けて、ハープの弦の本数や、弦の色の秘密、また七本のペダルによって音が魔法のように変化することを説明しました。   楽器説明の後はアクティビティのコーナーです。プログラムにハープのシールが貼ってあった子ども3人を舞台に招き上げて、ハープを弾いてもらいました。身体の小さい子どものために用意していたアイリッシュ・ハープも登場。みんな木村先生の指導を熱心に聞いて、すぐに〈きらきら星〉が弾けるようになりました。

 次にプログラム後半の1曲目は、1939年生まれのアメリカのハープ奏者デイヴィッド・ワトキンスが作曲した独奏曲〈ファイヤー・ダンス〉です。この曲は南アメリカの原住民の踊りをイメージして作られた曲なので、プロジェクターで原住民の姿を映し出して、印象を伝えるようにしました。今までとはまた違った激しいハープの演奏に、子どもたちは食い入るように聴いてくれていました。次に、サルツェード作曲〈夜の歌〉を寺澤先生がソロで演奏しました。この曲も特殊奏法がたくさん登場するので、子どもたちは静かにハープの音色を楽しんでくれているようでした。 最後に、本学ミュージック・クリエイション専攻の川上千晶(4年生)、鳩山冴映(2年生)、佐々木千尋(2年生)の3名による編曲で〈世界名曲メドレー〉を演奏しました。この日のために作られたハープ3台のための作品は、聴き馴染みのある世界の民謡やクラシック音楽を中心に編曲されており、メドレー最後の曲〈さんぽ〉は会場の子どもたちも楽しく歌いながら聴いてくれました。

 次に終演後の楽器体験コーナーでは、今回の主役のグランド・ハープに加えて、小さいサイズのアイリッシュ・ハープと琴が登場しました。アイリッシュ・ハープは身体が小さくてもうまく音が出せるので、子どもたちもグリッサンドをしたり、〈きらきら星〉にチャレンジしたり、大人の方はその様子を撮影したりと皆さん楽しんでいるようでした。

(岩本紗綾・記)


2018年12月8日
子どものためのクリスマス・コンサート〜音で楽しむおはなしの世界『あのね、サンタの国ではね…』〜

 「子どものためのクリスマス・コンサート〜音で楽しむおはなしの世界『あのね、サンタの国ではね…』〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第52回)を12月8日(土)に本学講堂で開催しました(第1部13時開演、第2部16時開演、各60分、来場者数・第1部595名/第2部187名、計782名)。 出演は「音楽によるアウトリーチ」14期生の田中佑奈(フルート)、樋口成香(オーボエ)、丹野桃子(ピアノ)、和田悠加(ピアノ)の4人グループ「アンサンブルくれよん」です。

 今回のコンサートは、嘉納純子の絵本『あのね、サンタの国ではね…』(偕成社、1990、絵:黒井健)を使ってサンタの国の1年間をお話と音楽で融合させてお届けしました。コンサートの幕開けに、バーナード作曲〈ウィンター・ワンダーランド〉をフルート、オーボエ、ピアノで演奏しました。メンバー紹介の後は、楽器紹介コーナーです。フルート独奏でゴダール作曲《3つの小品による組曲》より〈ワルツ〉、次にオーボエ独奏でチャイコフスキー作曲《白鳥の湖》より〈情景〉、最後にピアノ連弾で同じくチャイコフスキー作曲《くるみ割り人形》より〈トレパーク〉を演奏して各楽器を紹介した上で、会場の皆さんをお話の世界へと導きました。

 絵本のお話に沿って、1月から12月までの各場面に合う曲を演奏しました。1月はヴェルディ作曲《ラ・トラヴィアータ》より〈乾杯の歌〉で、サンタたちが賑やかに新年会をしている様子をフルート、オーボエ、ピアノで表しました。2月は子どもたちからのたくさんの手紙を一枚一枚丁寧に読んでいき、3月ではおもちゃ畑でのプレゼント作りのにぎやかな様子をピアノ独奏のエルメンライヒ作曲〈紡ぎ歌〉でお届けし、4月はメンデルスゾーン作曲〈春の歌〉でオーボエとコール・アングレとの2つの音色を聴き比べてもらいました。5月はサンタたちの体力測定でドゥメルスマン作曲〈《ウィリアム・テル》の主題による華麗なる二重奏曲〉をフルート、オーボエ、ピアノで演奏し、技巧的な動きに客席は釘付けでした。雨の多い6月はショパンの〈雨だれの前奏曲〉をピアノ独奏し、雨漏りでトナカイたちが大慌てする場面では、フルート独奏でリムスキー=コルサコフ作曲〈熊蜂の飛行〉をお届けしました。サンタたちが望遠鏡を持ってよい子を探しに行く7月は、ドビュッシー作曲〈ゴリウォーグのケークウォーク〉(戸田英里編曲)をフルート、オーボエ、コール・アングレ、ピアノで表現しました。

 8月はバカンスを楽しみ、9月になるとおもちゃ畑の収穫が始まります。ここで、アクティビティとしておもちゃ畑からのプレゼントの収穫を会場の皆さんとリズムに合わせて行いました。第1部では小さな子どもも多い中、振付けをしながら楽しそうに参加してくれました。10月にはサンタ会議が行われ、サンタたちが軽快に話し合いを進めている様子を2台ピアノの有名曲、ミヨー作曲《スカラムーシュ》より第1曲〈Vif〉で表現しました。11月はクリスマスに向けてサンタやトナカイたちがおめかしをし、サンタたちが夜空へ駆けていくクライマックスの12月は、フルート、オーボエ、ピアノ2台でアンダーソン作曲〈そりすべり〉(松尾璃奈編曲)を華やかに演奏しました。 最後には会場の皆さんも一緒に〈クリスマス・メドレー〉(赤鼻のトナカイ〜きよしこの夜〜ジングル・ベル)を歌い、会場が一体となっているのを感じました。 作曲家たちが様々な思いを込めて音楽を作っているからこそ、私たちは音楽を聴いて色々な気持ちになり、その時々の気分で思い浮かぶ曲があることを伝え、たくさんの拍手の中、幕を閉じました。

 終演後にはフルート、ピアノ、打楽器の楽器体験と、ストローリードの楽器工作を設け、たくさんの子どもたちが参加してくれました。 このコンサートで改めて音楽が与えてくれる想像力や発想力の豊かさを感じました。ご来場下さった皆さんが「今の自分にぴったりな曲を見つけてみよう!」と思っていただけたなら幸いです。 また、本コンサート・シリーズが今回、来場3万人目のお客様をお迎えすることができたことをうれしく思います。 「アンサンブルくれよん」にとってこのコンサートに出演できたことは、間違いなく今後の活動の糧になると実感しています。3月に結成3周年を迎えるにあたり、これからのあり方について考えさせられる機会となりました。今後ともどうぞ「アンサンブルくれよん」の活躍にご期待ください!

(樋口成香・記)


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