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2020年度コンサート記録

2020年10月17日
子どものためのスペシャル・コンサート 〜FUN FUN Flute! 楽しい!おもしろい!フルートの世界〜

  「子どものためのスペシャル・コンサート〜Fun Fun Flute! 楽しい!おもしろい!フルートの世界〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第56回)を、10月17日(土)に西宮市甲東ホールで開催しました(14時開演、60分公演、来場者数・子ども32名、大人54名、合計86名)。
出演はフルート奏者のザビエル・ラック先生(本学音楽学部准教授)とラック三智子さん、ピアノの竹ヶ鼻智絵さん(本学大学院1年生)、そして音楽学部フルート専攻生7名(4年生の大内菜々美、松本知紗、河道萌々子、2年生の内藤友捺、中野由菜、1年生の芦沢梨里沙、堀之内明希)の計10名です。

キラキラと輝くフルートは、見た目も響きも魅力的です。昔は木で作られていて、それはそれで素朴な温かい響きがします。そんなフルートの色々を演奏とお話で辿るコンサートとして企画されました。 まず、明るく楽しいジャック・カステレード作曲《笛吹きの休日》第四楽章をフルート四重奏(大内菜々美、松本知紗、河道萌々子、堀之内明希)で演奏して開幕です。
司会のラック三智子さんが登場して、新型コロナの感染拡大で開催が危ぶまれたコンサートを無事に実現できた喜びをお客様に伝えました。

第2曲はチャイコフスキー作曲《くるみ割り人形》より〈葦笛の踊り〉です。ソフトバンクのコマーシャルでお馴染みの曲という説明に続いて、フルート四重奏(内藤友捺、芦沢梨里沙、中野由菜、松本知紗)で演奏。
ここでいよいよザビエル・ラック先生が登場して、フランソワ・ボルヌ作曲〈カルメン幻想曲〉を独奏します(ピアノ伴奏竹ヶ鼻智絵)。ビゼーのオペラ《カルメン》の有名なフレーズを次々とパラフレーズする曲で、超絶技巧を生き生きと聴かせて聴衆を魅了しました。

第4曲は、ピアノとラック先生夫妻のフルート・デュオによるモーツァルト作曲〈トルコ行進曲〉です。ピアノの奏でるリズムに乗ってご夫妻が舞台に登場すると会場から歓声と手拍子が湧き起こりました。  次は「♪フルートって、どんな楽器?聴き比べてみよう!」のコーナーです。まず第1組として、(1)3、4歳から演奏可能なプラスチック製のプファイフ、(2)頭部管が曲げてあるキッズ・フルート、(3)ピッコロの3種を紹介して、〈ミッキーマウス・マーチ〉で3種を聴き比べました。次に第2組として、(1)柔らかい音の木製フルート、(2)銀製フルート、(3)金製フルートを紹介して、聴き比べ。第3組として、(1)フルート、(2)四度下のアルト・フルート、(3)1オクターブ下のベース・フルートの3種を紹介して、同じく〈ミッキーマウス・マーチ〉で聴き比べました。

続いて、クロード・ドビュッシー作曲《小組曲》です。ピアノ連弾曲として書かれた曲ですが、それをピアノ伴奏とフルート・デュオで演奏しました。第1曲〈小舟にて〉は中野由菜、第2曲〈行列〉は芦沢梨里沙、第3曲〈メヌエット〉は内藤友捺、第4曲〈バレー〉は堀之内明希、とセカンド・パートの学生が次々と入れ替わって、ザビエル先生とのアンサンブルを展開しました。 プログラム最後の曲はリチャード・ロジャース作曲《サウンド・オブ・ミュージック・メドレー》です。〈ドレミの歌〉や〈エーデルワイス〉といった有名なナンバーをフルート四重奏(ラック先生夫妻と大内菜々美、河道萌々子)で華麗に聴かせました。

最後に出演者が舞台に勢ぞろいして、メンバー紹介と短いアンコールで締め括りました。  新型コロナ感染拡大の影響で予定していた講堂の使用が危ぶまれ、急遽、甲東ホールに変更しての開催でしたが、来場のお客様からは、「コロナで大変な中、温かい楽しい曲やお話がとてもセラピーになった」「ザビエル先生が楽器と一体になっていてかっこよかった」「親子ともに心が豊かになる」といった声が会場アンケートから寄せられました。中には、「コロナで大変むずかしい中、企画をしてもらえてありがたい」「席が指定されていて前もって分かるのでとてもよかった」とスタッフの苦労を労ってくださるコメントもありました。 無事に開催できたことに深く感謝します。

(アウトリーチ・センター長 津上智実・記)


2020年12月12日
子どものためのクリスマス・コンサート 〜楽しい『あの日』がやってくる〜

  「子どものためのクリスマス・コンサート〜楽しい『あの日』がやってくる〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第57回)を12月12日(土)に本学講堂で開催しました(第1部11時開演、第2部15時半開演、各60分、来場者数・第1部93名/第2部87名、計180名)。
新型コロナ・ウイルス感染症対策として、来場者数の制限(100名以内)や楽器体験の中止、小まめな換気、アルコール消毒、来場者の検温とマスク着用など、異例の事態での開催となりました。 出演は「音楽によるアウトリーチ」18期生を中心としたメンバーで、井本斐(ピアノ・クラリネット)、勝間田萌(ピアノ)、松田真緒(ヴァイオリン・ヴィオラ)、岩ア朱夏(コントラバス)、安川陽菜(声楽)の5名が力を合わせました。

このコンサートでは、普段テレビやお店で何気なく耳にしている音楽を意識して聴いてイメージを膨らませてほしいという思いから、緩急に富んだプログラム作りを心がけました。知らない曲でも楽しんで聴いてもらえるように、選曲のみならず時間配分や楽器編成にもこだわり、オリジナルの物語にのせて進めました。 幕開けには讃美歌〈ひいらぎ飾ろう〉をピアノ、ソプラノ、クラリネット、ヴァイオリン、コントラバスの出演者全員で演奏しました(編曲は井本斐)。オープニングに相応しく華やかな編成で、会場の皆さんを物語の世界へと誘います。

2曲目はモーツァルト作曲《3つのドイツ舞曲》より第3番〈そりすべり〉です。「ある町のクリスマス前夜の様子を覗く」という導入に添って、途中聞こえてくる鈴の音から雪景色を連想させます。モーツァルトは5歳の頃にはもう曲を作っていたと紹介すると、客席からは驚きの声が上がりました。 続いてシューマン作曲〈献呈〉(リスト編曲)のピアノ独奏から、4曲目のシューベルト作曲〈アヴェ・マリア〉の独唱へと続きます。華やかな曲からゆったりと穏やかな曲へと緩急をつけることで聴衆を飽きさせない工夫をしました。 その後、物語は一気に加速し、「クリスマスはまだなのにサンタさんがやってきてしまった」という展開へ。小林亜星作曲〈あわてんぼうのサンタクロース〉で聴衆と手拍子をして「クリスマスはまだだよ」とサンタさんに伝えます。

ほっとしたのも束の間、今度はおもちゃ達がプレゼント箱から逃げ出してしまいます。このあわただしい様子をイメージして6曲目はヴィエニャフスキ作曲〈スケルツォ・タランテラ〉をヴァイオリンとピアノのダイナミックな掛け合いでお届けしました。やはり大曲だけに会場の温度も一気に上がったように感じられました。 コンサートも後半に差し掛かり、7曲目はカプースチン作曲〈シンフォニエッタ〉第一楽章をピアノ連弾で演奏しました。クラシックとジャズが融合した独特の世界で盛り上がりは最高潮に達します。 サンタさんが無事におもちゃ達に追いついたところで、会場の皆さんと一緒にリズム遊びのアクティビティを行いました。当初は歌いながら一緒に踊る予定でしたが、感染拡大防止のため急遽変更しました。「サンタさんよかったね」と「キラキラキラキラお星さま」という2つの言葉に乗せたリズムを覚えてもらい、仕上げに会場を2つのグループに分けて皆でアンサンブルを行いました。

8曲目は映画《若草の頃》より〈あなたの心に小さなメリークリスマスを〉(ヒュー・マーティン作曲 中村健編曲)をヴィオラ独奏で演奏し、静けさの中の美しい旋律に、会場の集中も高まります。続いてピアノ独奏でガーシュイン作曲の組曲《3つのプレリュード》より第1番、ソプラノ独唱でドニゼッティ作曲オペラ《シャモニーのリンダ》よりアリア〈この心の光〉を演奏。ピアノ独奏は短いながらも魅力の詰まった聴きごたえのある演奏で、アリアはソプラノ特有の高音が華やかな一曲によりぐっと聴衆の関心を惹きつけました。

最後に会場の皆さんへのクリスマス・プレゼントとして、モーツァルト作曲《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》より第一楽章を演奏しました。誰もが聞いたことのあるモーツァルトの名曲をピアノ、クラリネット、ヴァイオリン、コントラバスの編成でお届けしました。その後、歌も加わった《クリスマス・メドレー》として〈きよしこの夜?ジングル・ベル?赤鼻のトナカイ〉を演奏してコンサートを締めくくりました。 終演後には、中止した楽器体験の代わりに「折り紙でつくる楽器工作セット」を配布して、お土産として持ち帰ってもらいました。

(安川陽菜・記)


2021年3月6日
子どものためのスプリング・コンサート 〜弦楽器のヒミツ〜

  3月6日(土)、西宮市フレンテホールにて「子どものためのスプリング・コンサート 〜弦楽器のヒミツ〜」(「子どものためのコンサート・シリーズ」第58回)を開催しました(第1部11時開演、第2部14時半開演、各60分、来場者数・第1部78名/第2部77名、計155名)。 出演は「音楽によるアウトリーチ」履修生を中心とした中原真依(ヴァイオリン)・藤井耀誉(ヴァイオリン)、玉置華(ヴィオラ)、鳩山冴映(声楽/ピアノ)、佐々木里緒(ピアノ)・大村麻衣(ピアノ)の6名です。

 このコンサートでは、弦楽器を主軸として、その魅力をよりよく知ってもらえるようなプログラムを構成しました。  まず、幕開けとしてJ.シュトラウス二世作曲(川上千晶編曲)〈春の声〉を演奏し、弦楽器の仲間を紹介しました。第2曲はE.エルガー作曲〈愛の挨拶〉で、メロディーが各楽器に移り変わる様子や、演奏者がお互いに息を合わせて演奏する様子をお届けしました。次に、ヴァイオリンとヴィオラについて、2つの楽器の違いと特徴をお話しした上で、ポーランド民謡〈クラリネット・ポルカ〉で実際の音色の違いに注目してもらいました。 第4曲はヴィオラ・ソロによるA.ピアソラ作曲〈オブリビオン〉です。「ヴィブラート」という音を揺らして響きを増す奏法を紹介し、それを用いてヴィオラの心に沁みる物悲しい音色をさらに際立たせました。  ここで楽器紹介コーナーとして、ヴァイオリン本体や弓の重さを紹介し、弓の毛に塗る「松脂」という大事な道具をお見せしました。松脂は、弦楽器を演奏しない人にとっては知る機会が少ないので、大人の方も興味深く聞いてくれました。 また、弓を使わずに指で弦をはじく「ピツィカート」という奏法を紹介し、それを用いて演奏するJ.シュトラウス二世作曲(松尾璃奈編曲)〈トリッチ・トラッチ・ポルカ〉を軽快にお届けしました。

 プログラム中盤では、会場の皆様とリズム・アンサンブルをしました。春が旬の「イチゴ」と春の鳥「ウグイス」を用いたリズム2つを、岡野貞一作曲(鳩山冴映編曲)〈春が来た〉に合わせて叩きました。その後、緩急するピアノに合わせて各自好きなリズムを叩いてもらって、アンサンブルの楽しさを感じてもらいました。  第6曲は声楽のソロでW.A.モーツァルト作曲〈すみれ〉です。春に紫色の小さな花を咲かせるすみれの情景が浮かぶようなかわいらしい曲です。ここで、弦楽器の弦を弓でこすって振動させて音を鳴らす仕組みは、人が声帯を震わせて声を出すのと同じであることを伝え、声を出しながら喉に触って体感してもらいました。人の歌声と弦楽器の音色がよく似ていることも伝わったように思います。 第7曲は声楽と弦楽器でJ.S.バッハ作曲〈主よ、人の望みの喜びよ〉です。弦楽器は「レガート」奏法を用いて、より滑らかに声楽と一体となって演奏しました。第8曲は運動会でよく使われるJ.オッフェンバック作曲《天国と地獄》より〈序曲〉で、2つ以上の音を同時に弾く「重音」という奏法を用いて、力強さや勢いを加えました。 第9曲のV.モンティ作曲〈チャルダッシュ〉では、これまで紹介した奏法のすべてと「フラジオレット」という倍音を響かせる奏法も用いました。奏法の多さに加えて曲調も緩急があり、弦楽器の可能性が最大限に生かされる曲の1つです。プログラムの集大成となる曲でもあり、お客様も盛り上がった様子でした。

 最後はP.マスカーニ作曲オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》より〈アヴェ・マリア〉を演奏しました。弦楽器が歌うように演奏し、声楽と呼吸を合わせることで、改めてアンサンブルの楽しさを伝えました。  例年とは違う会場で、感染防止策のため制限されることも多く、その中でいかに音楽のおもしろさを体感してもらえるかに心を砕きました。あえてストーリー仕立てにしないことで、楽器本体や演奏法など、さまざまな視点から弦楽器についてより深く盛り込むことができたと感じています。演奏の編成も変化させ、ソロとアンサンブルの両方のよさを伝えました。ヒミツを少しずつ解き明かしながら、それに沿った曲を演奏していくことで、弦楽器のおもしろさや可能性を、たくさんの方に知っていただけたと実感しています。

(玉置華・記)


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