神戸女学院大学 学長 中野 敬一

知を育み、
自らの使命に出会う場所

社会の急速な変化や予想外の出来事により、今日の常識が瞬く間に過去のものとなるような時代を私たちは生きています。先行きの見えない未来に不安を覚える人も少なくありません。未来への備えとして何をすれば良いのでしょうか。

まず、先人から受け継がれてきた「知」に深く学ぶことです。それが未知の出来事にも対応できる新たな知を創出することに繋がります。学びには専門領域だけでなく他の領域にも広げるリベラルアーツ教育が重要となります。異なる専門性を関連づけることで複雑な課題の解決を見出す力や汎用性を養う機会にもなるからです。

つぎに、自分に与えられた役割を見出すことです。知が充実することは一人ひとりに使命感の発露を促します。その使命を確立させていくのが神戸女学院の永久標語である「愛神愛隣」です。神から与えられた責務に応答し隣人のために行動するという教育理念が、学びで得たものを自分のためだけではなく、他者のために用いたいという志へと導きます。また、広い視野により世界をみて異質なものを受容し、他者との共生を目指すという国際理解に根ざす教育もその志を支えています。

神戸女学院大学はおよそ150年の長き歴史において培われてきた学風があります。設計者ヴォーリズ自身が「建物それ自身が(学ぶ者に)積極的影響を及ぼす」と語った美しく品格あるキャンパスでその学風に触れ、確かな知と使命をもつ女性を世に送り出したいと願っています。