音楽学科

一生をかけて、ピアノを極めるために

- 自らのピークを目指して学び続ける -

伴奏ピアニスト 須山さん

関西を中心に、ピアニストとして活動の幅を広げている須山さん。神戸女学院大学大学院の修了後は、尊敬する先生を追ってイタリアに1年間留学するなど、音楽とピアノに対する情熱に溢れています。どのような経験が今に生きているのか、これまでの研鑽のあゆみを語ってもらいました。

suyama_main.jpg

他学部・他専攻との交流が刺激に

高校のときも音楽科で、ピアノを学んでいました。神戸女学院大学への進学を決めたのは、ぜひ指導していただきたい先生がいらっしゃったから。入学当初は、自然に囲まれた美しい校舎に通えることがうれしかったのを覚えています。
音楽大学への進学も考えてはいましたが、振り返ってみるとさまざまな学部のある大学を選んでよかったと思います。幅広い分野の講義を受けることができましたし、他学部の友達もできてとても刺激を受けました。
また、音楽学部は人数が少ないこともあり、専攻を超えた交流が盛んでした。授業の一環として行なったコンサートでは、舞踊専攻とコラボレーションしたことも。ダンスに合わせて演奏するのはそのときが初めてで、すごく新鮮でした。
試験期間中には、他専攻の友達に頼まれて実技試験の伴奏をしたことも。ソロで弾くときとの違いを感じ、先生にもたくさんのアドバイスをいただいた経験が、今の仕事につながっています。

学生のときの苦労が、今役立っている

西洋音楽の源流はキリスト教にあるため、「キリスト教学」などの講義も興味深く受講しました。副専攻では、教会音楽でよく演奏されるパイプオルガンを選択。学内にある石造りの荘厳なチャペルでレッスンを受けられたのは、特別な思い出です。
音楽についてさまざまなアプローチで学んだ4年間でしたが、そのなかでもとりわけ役立ったと思うのは、病院や幼稚園といった施設でのアウトリーチ活動。学生が企画から演奏まですべて自分たちで行うという講義で、喜んで聞いてもらえるような曲選びに悩まされました。でも、当時苦労したおかげで、今では演奏を頼まれたときにもプログラムを組むときに自然とお客様のことを考えられるようになっています。
卒業後はピアノの先生になって、演奏活動を続ける。学生のときはなんとなくそんなことを考えていましたが、卒業前の私の頭にあったのは「もう少しここで学びたい」という思いでした。そこで、大学院への進学を決めたんです。

大学時代のつながりから伴奏の仕事をすることに

大学院ではより専門的に学ぶのはもちろん、学内外で演奏をする機会も増え、身の引き締まる思いでした。でも、入学当初から指導していただいていた先生がイタリア在住の方で、私が修士2年生のときに帰国されてしまったんです。もっと先生のもとで学び続けたかったので、大学院を修了後にはイタリアへの留学を決意。不安はありましたが、大学院に進んだときと同じように、「悔いなく学びたい」という気持ちに従いました。
イタリア語はまったく勉強していなかったので、留学先では苦労の連続。でも、語学学校に通っているうちに声楽家の友達と知り合ったんです。一緒にコンサートもして、改めて伴奏のおもしろさを感じました。
日本に戻ってからは、神戸女学院大学でお世話になった先生方に、今後について相談に乗っていただいたこともあります。学生時代と変わらず、「伴奏の仕事がしたい」という私の思いを親身になって聞いてくださいました。
音楽の仕事は、人とのつながりがとても大切なんです。これまでの経験からさまざまなご縁がつながって、オペラの研修所でレッスンの伴奏者を務めることが決まりました。

私はまだ、私のピークを知らない

学生のときから少しずつ興味を持つようになった伴奏。同じ曲でも人や楽器によって演奏の仕方が違うため、伴奏者としてそこに合わせていくところに、やりがいとおもしろさを感じます。ソロでの演奏とリンクする部分も少なからずあり、演奏家として成長してくためにも、伴奏の技術を高めることが必要なのだと思っています。
私の夢は、一生をかけてピアノを極めること。
これまでの人生の大半をピアノと共に生きてきましたが、未だに上達を感じる瞬間があるんです。自分のピークに到達するためにも、さまざまな方向からピアノと音楽について学び続けていくつもりです。
音楽を仕事にするのは難しく、私も何度も悩みました。でも、大切なのは「好き」という気持ちを失わず、しっかりと学ぶこと。今後、まったく別の職業に就くことになったとしても、「悔いなく学ぶことができた」という自負さえあれば、自信をもって新しいステージへ進むことができると信じています。

Profile

音楽学科
須山さん 伴奏ピアニスト

兵庫県立西宮高等学校音楽科ピアノ専攻卒業。2010年、神戸女学院大学音楽学部器楽専攻卒業。2012年、同大学大学院音楽研究科音楽芸術表現専攻修了。在学中はボリス・ベクテレフ教授のもとで学び、大学4年生のときにはクラブ ファンタジー(神戸女学院大学音楽学部同窓会)より奨学金を受けてウィーン国際音楽ゼミナールを受講した。現在は演奏活動を続ける一方、関西二期会等でオペラや合唱の伴奏を務めている。