お知らせ

第六回リベラルアーツ・カフェ(公開講座)を開催しました。

 3月11日土曜日、本学人間科学部心理・行動科学科の矢野円郁先生を講師にお迎えし、「常識を疑ってみませんか?」というテーマで、第六回リベラルアーツ・カフェを開催しました。
 矢野先生のご専門は「認知心理学」。今回は、この認知心理学の立場から、血液型やジェンダーに関する私たちの「常識」を見直してみよう、というご提案をいただきました。
 皆さんは、血液型と性格は関係があると思っていませんか。また、男性に比べて、女性は地図を読むのが苦手だとも・・・。矢野先生によると、認知心理学の実験からは、これらの正しさを示すような結果は得られていないそうです。
 人間は、自分が予期したものに出会うと特に記憶に残るそうです。だから、「A型の人は几帳面」と思っていて、そういう人に出会うと、その記憶が強く残ります。また、個々の事柄の差よりも、大きな分類の差を一般化して理解しようとします。だから、地図を読む能力も、個人差としてよりは、むしろ男・女の差として理解してしまうのです。話を聞いていて「なるほど!」と納得しました。
 このように、私たちの「常識」は人間の認知の傾向に由来していると言えますが、しかし、同時に、こうした人々の常識が社会的な「差別」をも産み出してしまっています。例えば、血液型や性別で人の性格や能力を評価することは「差別」と言えるでしょう。そうした差別は解消するよう努力する必要があります。差別がなく、「誰もが生きやすい」社会を作るために、認知心理学の視点から、それぞれの人が自分の常識を問い直してみることは、とても大切だと実感させられました。

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