神戸女学院創立150周年記念めぐみ寄付講座「リベラルアーツへの招待」第6回が開講されました
第6回は、総合地球環境学研究所 所長の山極壽一先生を講師に迎え、「人類の進化と歴史を振り返って これからの学びを考える」と題して、人類と、生物学的に比較的人類に近いとされるゴリラやチンパンジーなどとの進化の違いから、人類が手にしてきた学び(教育)や文化の本質に迫るとともに、これからの在り方について講義していただきました。
授業は、「なぜ人間だけが教育という行為をするのか?」といった問いかけから始まり、霊長類の中でも人間に近い分類とされるゴリラに対する研究結果などをもとに、その謎を追究していきました。
人間は、長い歴史の中で、進化の過程や、環境の変化などを受けて、教育を行うようになり、それに伴って言葉や文化といったものが生まれました。しかしながら、人工知能の発達した現代においては、客観的な「知識」だけが独り歩きし、人間が本来もっている直感的な情緒が失われつつあります。先生は、人間は人ではなく、システムや制度を信用するようになってきており、シンプルな情報ばかりに流されていくと、人工知能に飲み込まれてしまう危険性もはらんでいると、警鐘を鳴らしました。
最後に先生から、いま世界が取り組んでいるSDGsに関して、「文化」に対する取り組みが欠けている、との指摘がありました。文化の均一化が進んでいる今こそ、多様性を有する個性的な文化・価値観を育んでいくべきであり、そのためには、未来を生きるみなさんにはぜひ、不確かな未来に挑戦していってほしい、挫折はチャレンジのチャンスであると学生への力強いメッセージが送られました。
この「リベラルアーツへの招待」は、本学出身者を含む、各界の第一線で活躍中の方々をお招きし、その経験、考え方、本学学生へのメッセージ等を聞くことで各自の学びや生き方を見つめ直すきっかけとするとともに、愛と奉仕の精神、豊かな感受性、想像力と企画力、主体的に学び続ける力などの、「本学で育む7つの力」を養うことを目的とし、全8回の日程で開講される予定です。
神戸女学院大学 入学センター・広報室