大学の特色プログラムで「子ども食堂」と出会い、ボランティアを続けている香川さんは、その経験を活かして就職活動に取り組み、第一志望の大手食品企業に内定しました。「神戸女学院大学は、好きなことを見つける後押しをしてくれます」と語る香川さんは、就職活動においてどのような取り組みをしたのでしょうか。

大学の授業がきっかけで「子ども食堂」と出会う

私は4月から、サントリーホールディングス株式会社で働く予定です。食品業界を志望するきっかけとなったのは、大学の授業を通じて「子ども食堂」でボランティアを経験したことでした。私が所属していた心理・行動科学科のゼミには「地域とつながる」というプログラムがあり、西宮の子ども食堂の活動をお手伝いしたのです。1年間の実習でしたが、最初は緊張していた子どもたちが、一緒に食事をしたり遊んだりする中で心を開いてくれて、笑顔で学校や友だちについて話してくれることに、すごくやりがいを感じました。それで授業が終わってからも、自宅近くの子ども食堂でボランティア活動に取り組むことにしたのです。活動と真摯に向き合う中で「食事は人の幸せの中心にある」という思いを抱くようになり、「食品業界で働きたい」と考えるようになりました。
食品業界の企業の中でも、サントリーは私にとって第一志望の「憧れの会社」でした。実家の夕飯の席で父がいつもプレミアムモルツを愛飲しており、以前から企業名になじみがありましたし、何より同社の創業からのポリシーである「やってみなはれ」という言葉にも共感していたことが憧れの理由です。また飲料だけでなく、サプリメントや花の栽培など多様な事業を展開し、海外でも大きくビジネスを広げているのも魅力でした。

ボランティアの名札を「お守り」に面接に挑む

サントリーは学生の就職先として非常に人気があり、倍率もとても高いことで知られています。また私の就職活動の時期は、ちょうどコロナ禍の真っ只中で、面接はすべてオンラインでした。そこでどうしたら自分に良い印象を持ってもらえるか、工夫をしました。オンライン面接では画面越しの会話でも明るい印象をもっていただけるよう、いつも先にカメラをオンにして満面の笑みを浮かべて面接官の方が入ってくるのを待つように心がけました。私は香川県出身で、名前も「香川」であることから、子ども食堂では「うどんちゃん」というニックネームで活動していました。ボランティア中は「うどんちゃん」と書かれた名札をつけていたのですが、面接のときは名札を机の下で握りしめていました。名札は私にとって「自分の象徴」と言っても過言ではなく、お守りのような存在だったのです。「学生時代に力を入れたこと」を聞かれたときには名札を見せて、子ども食堂での経験と学んだことを話すと、面接官の方はとても興味深そうに話を聞いてくれ、数度の面接をパスすることができました。

自信を取り戻せたキャリアカウンセラーの言葉

ところが、いよいよ最終面接が2日後に迫ったとき、私は緊張とプレッシャーの大きさから、ものすごく不安になってしまいました。そこで頼ったのが、大学のキャリアアドバイザーの方でした。「周りはすごい経歴の学生ばかりだと思います」と泣いてしまった私に、アドバイザーの方は優しく「ここまで来られたということは、香川さんに実力があるということ。絶対に大丈夫だよ」と励ましてくださいました。私はその言葉で自信を取り戻し、最終面接で自分のサントリーにかける思いを全部出すことができたのです。後で人事の方に私の印象を伺ったところ、「メンタルが強くて芯があると感じた」と言っていただきましたが、それは神戸女学院大学とボランティアの経験で培われたものだと思います。

私はまだ、世界の美しさと真実を知らない。

入社後はどんな仕事に取り組むか、まだわかりませんが、将来の夢としてはサントリーが取り組む「水育」の仕事に携わるのが目標です。水育は、子どもたちに水の大切さや水に関する知識を伝える活動です。子どもたちとその保護者を対象に、サントリーが取水する森林でフィールドワークを行っています。私が第一志望の会社に内定できたのは、神戸女学院大学に入り、心理学を学び、大好きな子ども食堂と出会ったからに他なりません。私にとっての子ども食堂のように、この大学で4年間を過ごせば、きっとみんな「自分の本当に好きなこと」が見つけられると思います。